GizmodeさんのParallelsとVMware Fusionの比較記事について
先日、酔っ払ってMacBookでの有償仮想環境ソフトウェアについて実にいい加減な比較記事を書いたところ大手のGizmodoさんからリンクを頂きありがたいことに酔っ払いの日記に検索から飛んでくる人が多くなりました。
ちなみ今日も飲んでます。
gizmodoさんの記事はこちら。
VMWare Fusion vs. Parallels、どっちが速い? | ギズモード・ジャパン
私の酔っ払いの作文はこちら。
Parallels 4 VS VMware Fusion 2.1 - minghaiの日記
この記事ですが、元の記事が素晴しいのでぜひ原文を読んでほしいんです。
特に原文では比較を行ったベンチマークの結果がエクセルファイルで落とせるのでそれも落としてください。
原文:
MacTech | The journal of Apple technology.
原文テスト結果データ
ftp://ftp.mactech.com/src/mactech/volume25_2009/
なぜそんなことを今さら書く気になったかというとはてブを読んでみてちょっと原文に当たっていない気がするコメントが多かったからです。
Gizmodoさんの記事のはてブ
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.gizmodo.jp/2009/03/vmware_fusion_vs_parallels.html
ここには50を越えたはてブがあるのですが、コメントを読むと結構皆さん、結論が速い気がします。
確かに、CPUだけを見ればParallels圧勝なのは私の体感速度からも納得のいく結論なのです。
でも、私が体感したIOの速度差はどうですか?
実は原文を注意深く読むとIOの調査に関してはとても大事な事が書いてあります。
原文は実に深く、どっかの新聞屋さんのように1ページの量が数行しかないのに多ページに渡っているのと違って、各ページがやたら容量があるのに4ページもあります。
Gizmodoさんの記事は結論のみなので実はそれだけですと非常に重要な部分を見落してしまいます。
それはもちろん、Gizmodoさんの記事が紹介記事であるからでして、別に全文転載した上で翻訳せいという言う訳でなく、原文へのリンクで十分なのです。私達はできるだけ原文を読もうよということです。
で、6時間以上飲んでいるのでこれでも手短にいきますが、重要なのはなぜ私のIOに対する圧倒的なVMware Fusionの速さが結果に生きてこないのかです。
注目して頂きたいのは2ページ目にあるFile and Network IO Testsです。
http://www.mactech.com/articles/mactech/Vol.25/25.04/VMBenchmarks/index-002.html
Originally, we ran file copy tests on all the environments. In analyzing the results, we realized that there was a huge problem. Mac OS X and Windows were interfering, in a good way for typical users, with the results. Both Mac OS X and Windows have some pretty sophisticated caching schemes, but they also made File and Network IO tests unpredictable. As just one example, sometimes a MacBook was faster than a Mac Pro, and other times it was not. In the end, we tossed out the several hundred test times, and re-tested.
Due to time constraints, the retests focused solely on the MacBook Pro. To avoid the interaction problems with Mac OS X and Windows, we tested using data set sizes that were about the same size as the physical memory, or larger. This prevented the Mac and Windows from any type of caching. The data sets we copied from one location to another were 3.7GB total (two 1.85GB files because we needed to stay below the 2GB file limit).
The same set of files was used for all the copies so that you can see the differences between the different methods of copying.
以下、酔っ払いのいい加減な訳。
最初にファイルコピーのテストを全ての環境にて実行した。結果を解析するにつけ、でっかい問題があることに気付いた。
Mac OS XとWindowsは典型的なユーザーにとって良いように結果に介入する。
MacOSXとwindowsの両方はともて良く設計されたキャッシングの仕組みを持っている。しかしそれらがファイルとネットワークのIOテストを予測不可能にする。ひとつの例として、ときたまMacBookはMacProより速くなる。そして他のときにはそうならない。最終的に我々は数百回のテスト結果を捨ててまでして再テストした。時間の制約により再テストはMacBook Proにフォーカスした。Mac OS XとWindowsの介入を防ぐためにデータセットサイズを物理メモリと同じサイズか、それよりも大きくした。これらがMacOSXとWindowsがキャッシュすることを防いだ。コピーしたデータセットのサイズはトータルで3.7GBで、二つの1.85GBファイルであり、それは2GBのファイルリミットより下である必要があったためである。
同じファイルの集合は全てコピーに用いられ、コピー方法による違いがわかるようにした。
というわけで上記を読むとわかりますが、MacやWindowsのOSはキャッシュを行なうがために、仮想環境でファイルIOのベンチマークを行なうと結果がキャッシュの状態により滅茶苦茶になり、本来速いはずのProよりMacBookのほうが速い結果がでてしまった場合もあったとあります。それゆえ、この項目だけMacBookProのみを対象にして、キャッシュされない巨大なファイルのみを対象に行ったと書いてあります。
ここで重要なのはキャッシュに収まらない巨大なファイルのコピーは典型的なユーザーの挙動とは全く違ってしまっていることです。この方法が果たして有効であるかどうかベンチマークのテストのありようを良く考える必要があります。
ここで私が言いたいことは唯一圧倒的体感的に感じることができるVMware FusionのIO速度の速さがこのようなテストで判断されても良いのかということです。
テスト結果のエクセルを落とすとわかりますが、IOの項目だけ上記で説明されているように非常に結果が少いものになっています。
そしてエミュレータの評価は速度だけでなく、再現度も重要視されるべきです。
3ページ目のゲームに関する評価をご覧ください。
The results showed Parallels Desktop winning the FPS test across the board, but this was not representative of the situation. Yes, Parallels Desktop had a faster FPS (see spreadsheet if you are really interested), but the richness of the VMware Fusion graphics was significantly more detailed and better. For example, instead of just water, VMware Fusion had many more fish jumping out of the water, more realistic textures, really nice reflections, detail on land, etc. At the same time, Parallels Desktop was more fluid (i.e., it worked better) on the slower machines.
酔っ払いの翻訳。そろそろ頭が回らない。
結果がParallelsがFPSでは勝っている。しかしこれが状況を代弁はしない。ParalleslsはFPSに置いて速いが、VMware Fusionのグラフィックのリッチさは明らかにより細かく、より良い。例えばただの水ではなく、WMware Fusionではより多くの魚が水の上を跳ね、よりリアルなテクスチャが用いられ、素敵な反射や、細かな土地の描写が見られる。同じ場合にParallesは遅いマシンでも滑らかに動く。
という訳でグラフィックの再現性はVMware Fusionのほうが良いとされています。
というように、実は原文では細かに両ソフトウェアの比較がなされており、一方的にParallelsを推奨する結論とはなっておりません。
そしてこのベンチマークの何よりの成果は両ソフトに共通する、Mac上でWindowsを仮想環境で使用する場合のお勧め設定です。
それが4ページ目にあたります。
特にmore is betterと思っているだろうけど、仮想環境に2G以上のメモリ与えてたり、2つ以上のコアを与えても多くの場合には無駄!という指摘はとても参考になりました。
ですのでぜひ4ページ目だけでもぜひ原文をご覧ください。
そのうえでぜひお願いしたいのは原文に書いてあるとおり、両者のソフトウェアを比較するならあなた自信の使い方にて比較するべきです。両方とも体験版が落とせるのですから、まず体験版を落して自分がメインで使うソフトウェアにて比較するべきです。
また両者のソフトウェアとあなたとの相性も比較するべきでしょう。UIとか全然違いますから。
そうすればきっと自分にとって適切なソフトウェアがどちらであるのかはっきりと判ると思います。
なお、酔っ払いはここに誓いますが私はVMwareとParallesの開発会社とも販売代理業者とも一切関係ありません。