丸山先生第5回Android勉強会

本日丸山先生第5回Android勉強会に行ってまいりました。
今回予想を遥に越える最高に楽しい内容でした。
懇親会に行きたいと思ったのですが予約だけでも30名とのことでちょっと遠慮しました。
それでも家で起源良く酒を飲んでおります。
今回は早さだけ重視で当日の報告です。

なお、本日の発表資料はここに上げられております。
http://android.siprop.org/index.php?%CA%D9%B6%AF%B2%F1%2F%C2%E8%B8%DE%B2%F3

MIDPアプリ移植入門

TAITOの藤本豊さんによる発表です。
とつとつと話す藤本さんにはゲームプログラマよりも紳士しか感じなかったのですがそれはもうちゃんと期待どおりの内容でした。

最初はローギアでスタートです。

自己紹介にて携帯ゲーム開発の歴史が語られました。

1999年にiモードでは某社が待受画像月20万件を達成し各社が色めきだって参加を決意したそうです。
待受画像が20万件となりますと月100円でも月収2000万の事業です。

藤本さんは2001年のiアプリスタート時に即時でのリリースを依頼されたとのことです。
さすがに無理だと思い1ヶ月は欲しいと答えられたとのこと。
実際には2週間で作成することができたとのことですが、思えばこれが携帯業界における短納期の運命づけられたのではないかとのことでした。


藤本さんはなぜMIDPからの移植なのかという問いに次のように答えます。

  • 現行開発者が多い
  • 会社を説得しやすい。
  • いくら儲かるのか数字を出せる

これを開発者の皆さまならご理解できるとのこと。
まさにこの業界の本質を取らえられております(笑


ここからゲーム開発者の本領発揮です。
ギアが上がってきます。
今回業務上のソースは公開できないとのことで大昔に御自分で作成されたテストアプリを登場させます。
弾幕のシューティングですが、いきなり自キャラが御自身の若かりしころの写真です。
しかも鼻毛ビームです(笑


若き日の藤本さんが2体(笑)画面上におり、一体は勝手に動き、一体は操作します。
そして鼻毛ビームです。鼻毛ビームは最大126発です。2+126で128です。この数字が美しいと思える人でなければダメダメです。


ここからMIDPからAndroidへの移植上の差異についての講義になります。

永続ループ
  • MIDP: runnableの中でwhile(true)
  • Android: onDrawの中で画面更新指示のinvalidateを呼びながら
キー検出

Midlet: keyPressed()とkeyReleased()にてallkeycodeをor演算。永続ループ中にて利用
Android: onKeyDown、onKeyUP

なお、携帯環境ではなるべくコスト上switch文は使わないほうが良いとのこと

画像描写

MIDP:imageの作成 Graphics g.drawImageする
Android:resource/drawableからgetResource().getDrawable()
drawImageは名前が同じだが引数がちがう。共通化できるメソッドを作るといい。

ここでMIDP1.0環境のエミュレータAndroidエミュレータでの鼻毛ビームの実行が比較されます。
Androidエミュレータ上での実行がもっさりです。
以前からGoogleデベロッパー交流会などにてAndroidエミュレータの実行速度の遅さが指摘されておりますが、本日もまた指摘されてしまいました。



さてここらでまたギアが上がります。
本日の隠しテーマです。
AndroidでArkanoid」
この一言を言いたいがためにこの日の発表が行われたのでした(笑


ArkanoidのMIDP実装版からAndroidへの移植です。
考察として、
MIDPではimplements CommandListenerし、setCoomandListener(this)することでcommandAction()でソフトキー押下イベントが取得できる。
本来であればandroid.view.Menuを使ってCommandListenerを再現するのが良いが自作で行なった
、とのこと。ここはちょっと理解できていません。


MIDPでは状態の一時保管にRecordStoreを使うがAndroidではandroid.content.SharedPreferencesを使うとのこと。
ここは先日私も使ったのでよくわかります。
MIDPでは初期化が必要であるのに、Androidは明示的な初期化がいらないのでコードが大分短くなるとのこと。


ゲーム中に使用されるリソースファイルの読み込みは、
MIDP:InputStream is = Connector.openInputStream("resource:///wall.bin")
Android: InputStream is = this.getResources().openRawResource(R.raw.wall);

になるとのとこ。
Androidはrawとdrawableの使い分けが私は良くわかりません。

ここで、Arkanoidはjarで100k、Androidのapkが500kほどになったとのことです。MIDPでは画像リソースをまとめて小さくするのに対し、Androidでは画像を個別にもっているので圧縮率が悪くなったとのことです。作り込みが必要なポイントだそうです。


ここでAndroidの実機によるデモです。
工科大学携帯により鼻毛ビームとArkanoidが実機にて実行されました。
鼻毛ビームはMIDPのエミュに比べても遅いです。
しかしArkanoidは工科大携帯にてiモードに比べても全く遜色のないスピードにて実行されました。


工科大携帯は東京工科大学の田胡研究室のご協力により用意されたとのこと。
http://www.teu.ac.jp/t-lab/keitai/

との
最後に藤森さんより、「この発表を日々厳しいスケジュールで携帯アプリを開発しているプログラマに捧げます。」
との美しい御言葉により閉めがなされました。
ゲーム業界はSI業界に負けじと厳しいようです(笑

ブレイク

発表者交代の間につなぎとしての小話が挟まります。
京都でのGoogleによるカンファレンスの報告。
GoogleのWさんが8月中の第3クールにて発表されるとのこと。
楽しみです。

Androidとぼく

クレイジーワークスCEOであり、かつロケットスタート取締役であらせられる村上 福之さんによる発表。
良い意味で期待裏切りまくりの発表でした。
以前に聞いたときNESエミュレータの作者とのことであまり期待していませんでした。
NESのエミュは大昔からソースが公開されまくってきたものであり、かつJavaアプレットによるNESエミュレータもまたはるか昔から公開されてきたものであるからです。
しかし村上さんはフロックではありませんでした。
安生さん以上にど厳しい意見をエンターテイメントに包んで投げかけてくださいました。


最初は村上さんの経歴です。
まず大手電機メーカーにてSDカードの開発をされていたそうです。
メモリスティックには負けるなと言われタコ部屋生活をされていたそうな。
飽きてやめます。
その後電子書籍関連のお仕事をされていたとのこと。
これも飽きてやめます。
で、独立。
現在に至ります。
ロケットスタートには字幕.inやあの予告.inのやのさんが所属されてるとのこと。
クレイジーワークスはGoogleと同じビル(ってことは渋谷のあれ?)に存在するとのこと。
CNETでは最も注目されるベンチャーとして紹介されているとのこと。(ここらへんメモがいい加減です。とにかく喋りが速い。)


以前にimode上にてNESのromをiアプリに変換するサーバーを作成されたとのこと。
CNETにて紹介されたすぐ任天堂に怒られたそうです(笑
実家に訴状が届いたとか。


Android向けのNESエミュレータは4時間で移植したとのこと。
SDK発表からなんと3日目の快挙。
藤森さんと同じようにちょろちょろ書き換えたら動いたとのこと。
ただし、10秒で1フレームくらいしか更新できないとのことです(笑
Googleのルービンさんにも送ったら"Very Cool"との賛辞を頂いたそうです。
これも任天堂にすぐ怒られたそうです。
10秒に1フレームなんて役に立たないだろうと言ったらそれでも任天堂の弁護士に「こちらとしては心象が悪い」とか言われたとかなんとか(笑


きちんとサーフェスは使っているそうで遅いのは描画が原因でなく65系のエミュレーションが単純にAndroidエミュレータには過負荷なようです。

以上終了で雑談開始

狙われてたのでしょうが、こっから超速の雑談開始です。
こっからが本番です。


会場に来ている大きなお友達より普通の携帯コンテンツのお客様の望みは異なる。
ぶっちゃけモバゲーが大事。
アバターは1日で2500万の売上がある(!)


こっから怒涛の早さで数字込みの説得力ある話が続きます。
例えば電子コミック。
利益率が超高いそうです。単月で15億の売上です(!)


携帯のUIをフラッシュにて実装し、ダウンロードにて変更できる「着せ替え」。
単月11億の売上です。


日本の携帯市場は3600億の売上です。
これは無視できません。
これができなかったらAndroid売れない
日本独自コンテンツ機能を実装しないとFOMA70X系よりもたちが悪いんです(!)


ここからAndroidの暗い未来が導かれます。
AndroidAPIは閉じられる可能性が高い(!)とのこと。


OSが無料になっても支出の極一部です。
Docomoを例に上納金の一覧が示されます。
上納金支払い先が多いのでOSが無料なのは関係ない、とのこと(!)


実際に日本の携帯市場に全く非互換だった機種の悲惨な末路がまた説明されます。
曰く、
FOMAHT1100
FOMAM1000
SoftBank X02HT
は全く売れなかったとのこと。
X02HTも一部のコアなマニアのみ。



これらを考慮するとA売上を考慮した時、
Androidのコンテンツビジネスには参入しないほうがマシ(!)
との結論が用意されます。
# いい加減なメモなのでこれだけをソースに広めないように!



Androidでは減らないものがたくさんある
機能を乗っけないとぼくらもキャリアも食いブチが減る。
このメッセージにGoogleは何か救いを用意できるのでしょうか?


ここでNokiaDocomoの比較がなされます。
Nokia、つまり世界市場ではMIDI、MP3が利用でき市場の無さが指摘されます。


正直ユーザー(女子高生)はOSなんかどうでもいい。


では村上さん含め、コードが好きな私達はどうすれば良いのでしょうか?
村上さんは日本を諦めるのも有りだと仰います。


海外ではPC上にて携帯のコンテンツを販売しております。
例えば以下のサイトでは"Age of Empire"を5$で売っております。
http://www.gamemobile.co.uk/


日本市場の特殊性を無視して海外にて多量の発売を行えばいいわけです。
ゲーム業界でも世界展開は当たり前であり、海外販売のみのゲームを日本メーカーが作っているのは珍しくありません。


Androidのメリットは以下にあります。

  • 海外とケンカできる
  • iPhoneと違い多数のメーカー端末の販売が期待できる
  • 海外は品質が2割悪くても売れる
  • 新機種(Android) が出たら5割悪くても売れる


最後にEclipseは重いよねという落ちで終わりました。
あっという間の40分でした。
村上さんはなんか見た目すごい高そうな服に包まれて、良い意味ですごい胡散臭いです。
プレゼンが非常にうまく、芸人みたいです。
早口の早さは漫才師のようです。
この方の講演を見られるチャンスがありましたらぜひご覧になることをお勧め致します。

Mashed up by Android Application

Gclueの佐々木さんによる発表。



GClueでは海外で受ける斬新なものに特化しているそうです。

Next Web = {iPhone, Android} x cloud Computing

が標語です。
日本メーカー涙目ですね。


会社は会津若松にあります。
東京よりシャンハイのほうが近く感じるとのこと。
東京に来られるときはいつもホテル住まいだそうです。


Androidの利点を語られるとき、まずAndroidはブラウザ自体がAndroidアプリなのでダウンロードしての変更が可能だと述べられます。
Airが近いそうです。



自社のアプリの紹介です。
GolfzillaはGoogleマップにて有名ゴルフ場を表示した上でゴルフがプレイできるゲームのようです。
地図の表示にはもちろんcom.google.android.mapsを利用されています。
Googleマップの画像からゲームに必要な境界の判断には画像を2値化して力技をされているとのこと。
ここでちょっとゴルフ場の著作権とかなにかを心配になりました。今は亡きT&Eが有名ゴルフ場を使用するときはかなりお金を払ったはず。
ゲーム画面の作成にはoverlay 、 MapView 、 MapActivityのレイヤーを利用されているとのこと。
タッチパッドの利用がiPhone以降の時代のアプリには当然の仕組みのようです。


次にcom.google.android.gtalkserviceを利用してのP2Pオセロが紹介されました。
XMPPにて座標情報を交換します。
imodeからの移植だそうですが、P2Pを利用できるAndroidなら対戦物がロジックを実装せずに済み簡単なのではないかとの提案です。


次にWebkitを用いた連携についても提案がなされました。
SafariiPhoneWebkit系、つまりAndroidiPhoneの共通項との扱いです。
ただし課金が関わってこないのが寂しいとのこと。



またWebkitとJSブリッジによる連携もデモがありました。
最初はIntentの利用によるものかと思いましたが、WebViewによるもののようです。
ここにコードによる解説があります。


情報公開に非常に力を入れられていますので今日の資料を含めて多くがGoogleのサービスを用いて公開されているとのことです。
詳しくはGoogleにGClueを検索してくださいとのこと。


会津若松にてAndroidの無料セミナーを開催中
最少は平成生まれ18歳の女子高生とのこと。
東京の方は教えに決ますのでぜひ呼んでくださいとのこと。東京はビジネスですので無料でありません。


会社の開発環境は全てMacに移行されたとのことです。
やはりドキュメントの互換性にて問題が発生したようですが、新規ドキュメントは全てGoogleDocに移行されたとのこと(!)

GoogleIOにも参加され、デバッガさんが作られたデコレーションを事業として販売されるとのことです。
ebayに注目です。


現在、アプリの宣伝を世界中に流されたとのこと。spamと思われるんじゃないかと思ったのですが、世界中から厳しいご意見が届いているそうです。
儲けには直ぐには繋りませんが世界中に友達ができたと思って修正に入っているとのこと。
ここらへんのアグレッシブさが堪りません。

まとめ

本日実はそんなに期待していなかったのですがお三方とも素晴しい発表でした。
最高でした。
本当にお酒が美味しいです。
ありがとうございました。